私が、静岡県茶業試験場に併設された農林大学校の学生だった頃、「番茶とは煎茶の安いものを言う」と教わりました。
改めて考えると、かなり乱暴な言い方だなと思えてきました。
文献を調べたり、私なりの経験から「番茶ってなんだ」と考えてみました。
1.柔らかな新芽でなく、硬化が進んだ茶葉(コワ葉という)を原料としたお茶
2.一度収穫した後、遅れて伸びた茶葉(遅れ芽)を原料としたお茶
3.仕上げ時に選別された大型の茶葉を原料としたお茶
この3点に当てはまるお茶が、番茶だと思っています。
いずれも価格の安いお茶です。
下級なお茶という言い方もしっくりきませんが、
高級の反対のお茶なのは確かです。
お茶は遅く摘むほど品質が落ちるため、昔は晩茶とも言われていたようです。
高品質の煎茶は販売用に製造し、売り物になりにくい、遅れて伸びた葉や、硬くなった葉を自家消費用に製茶した“晩茶”が、“番茶”になったのでしょうか?
また、ほうじ茶を番茶と呼ぶところもありますが、これは、一般的にほうじ茶の原料に、低品質のお茶が用いられるために呼ばれるようになったのだと考えられます。
また、地方により、昔からの独特の製法が今に受け継がれている番茶もあります。
私も詳しくはありませんが、徳島の阿波番茶、京都の京番茶、愛知県足助町の足助寒茶などが有名です。
また、昔から番茶は、含有成分が少ないというイメージが有り、子供やお年寄りには、マイルドな番茶が適しているといわれます。
番茶にもいろいろな種類がありますので、一概には言えませんが、実際に主要成分の含有量を調べてみると、確かに、うま味の成分アミノ酸の含有量は上級茶の数分の1、カテキン、カフェインの含有量は7割程度なのがわかります。
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