上記でお話ししたことを過去に行われた実験から、具体的な数値をふまえてみてみましょう。
なお、この実験時には、カテキンではなく、タンニンという言葉を使っていたので、以下タンニンを用います。
表1では、上級煎茶6gを4段階の温度の湯180mlで、浸出時間を変えた場合のタンニンとアミノ酸の比率を表しています。
少しわかりにくいのですが、数字はお湯に溶け出したタンニンの量÷アミノ酸の量です。数字が大きいほどタンニンの割合が多く、小さいほどアミノ酸の割合が多いということです。
言い換えれば、数字が大きいほど苦渋味が勝っており、逆に数字が小さいほどうま味が勝っているといえます。
ここでは、
お湯の温度と浸出時間の違いで、うま味の成分アミノ酸と、苦渋味の成分タンニンの溶け出す割合に、どのような傾向があり、お茶の淹れ方で味にどのような変化が出るのかを確認します。
●ポイント1
湯温が高いほどタンニンの比率が高くなる、逆に湯温が低くなるほどアミノ酸の比率が高まる。
●ポイント2
40℃、60℃の低い湯温では、旨味の成分アミノ酸の比率が高く。浸出時間が長くなってもタンニンとアミノ酸の比率はあまり変わらない。
●ポイント3
80℃、100℃の高い湯温では、苦渋味のタンニンの比率が高く。浸出時間を長くするほどタンニンの比率が高くなる。
●ポイント4
全体的にみると、タンニンの比率は時間よりも温度の影響のほうが大きく、特に80℃を越すと急速に高くなる。
●ポイント5
お茶に含まれるカテキンには数種類があり、特に苦みの強く含有量も多いエピガロカテキンガレートは、高い湯温で溶けやすい成分であることもふまえておきたい。
表2では、上級、中級、下級茶のアミノ酸、カフェイン、タンニンの含有量を表してあります。
お茶のランクによる、それぞれの成分の含有量の違いに注目して下さい。
※カフェインは、苦みの味成分で、後味の良い苦みが特徴と言われており、比較的低い温度でも溶けやすい成分です。
●ポイント6
うまみ味成分アミノ酸は、お茶のランクにより3倍近くの差がみられるが、苦渋味の成分であるタンニンは、お茶のランクの違いによる差はほとんどない。
その他
●ポイント7
お茶は、熱いお湯で淹れる方が香りが強く出る。
以上の実験やポイントから
お湯の温度や時間を変える事で、うま味と、苦渋味のバランスが大きく変わる事がわかりました。
さらに、お茶の種類(ランク)により、味成分の含有量が違うため、お茶の種類に合わせて、淹れ方を変える事が大切だとわかりましたね。
特に、上級茶の場合、80℃以上の温度で淹れると、苦渋味の強いお茶になってしまうため、さましたお湯で淹れる事が、上級茶が持つ本来のうま味を楽しむためには大切な事がわかりました。
お茶の淹れ方の理屈はご理解いただけましたか?
あとは実践で、自分好みのお茶の淹れ方を見つけて、お茶をよりいっそう楽しんで下さい。
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